緋色のサファイア第8話

まえがき

毎回書くたびに、次の話はこのままの勢いで書くぞ!と思うのですが結局休憩してしまってズルズルと先延ばしになっちゃうのが最近の悩み、ふぉりあです笑 今回は脱出編!ハラハラドキドキ、、、できるように書けていればいいなぁと思います!

 

 

前回のあらすじ

ダルク軍の本拠地に捕まっているハルカ。身体や能力などを調べ上げられながらも、時折聞こえる謎の声に従って脱出の機会をうかがっていた。謎の声の依頼で敵軍幹部、キョウカの毒に対する解毒薬を作り、謎の声の主に渡すことに成功する。目を覚ますと、その声の主なのか、エリックと名乗る男が一緒に逃げようとハルカを連れ出した。脱出のための飛行機を探すため、二人は本拠地内を駆け回る。

 

 

「ちょっと…ハァ、ハァ…待って…!」

「おやおや、少し急ぎすぎたかな?でも頑張って!敵は僕たちのことを血眼になって探してるはずだよ!」

二人は暗闇の中、光を避けながら全力で走っていた。しばらく走ると、目の前が開けてきた。大きな倉庫のようなものも見える。

「着いたよ!ここからは静かにしてね。」

「や、やっと…!ここからどうするの?」

「今から戦闘機を頂戴して逃げるんだよ。大丈夫さ、操縦は何とかするから。さあ、あの建物に入って一瞬で敵兵を片付けるよ。」

そういうと、すぐ近くの建物にエリックは侵入していった。ハルカも音をたてないように後を追う。建物内には戦闘機と、見張りの兵士が2人いた。一方を頼む、とジェスチャーで指示されたハルカは、後ろから近づき、後頭部を殴りつけた。一瞬、うめき声をあげた兵士が倒れ掛かってきた。敵兵士を受け止め、そっと寝かせた。エリックの方もうまくいったようだ。

「いいね。訓練受けたことあるの?戦闘機をハッキングするから、あたりを警戒しててね。」

そういうとエリックは戦闘機に乗り込み、なにやらゴソゴソと操作している。

「よし…。もうすぐだ…!」

その時、あたりがライトで照らされたのか、突然パッと明るくなった。同時に、爆発音も聞こえ始めた。

「クソッ、もう少しなのに…!ハルカちゃん、外の様子は?!」

「敵が来てる!でも仕掛けた爆薬で足止めできてるからしばらくは大丈夫そう!」

「爆弾を仕掛けたのかい?!いつの間に!」

「ここに走ってくるときに、爆薬を撒きながら来たんだよー!踏んだら爆発するから、足止めになると思う!」

「すごい!よくやったね!」

「でも別の方からも来た!応戦するね!」

 

 

ハルカたちが通ってきた方向とは逆の方向からも敵が来た。ハルカはカプセルミサイルをいくつも放った。少しして、背後から甲高いエンジン音が聞こえてきた。

「よし!できたよ!乗って!」

「う、うん!」

ハルカが後席に乗り込むと、格納庫の外へとゆっくりと滑り出した。

「右!右からミサイル!」

「おっと、任せておいて!」

エリックが手から電撃を飛ばし、敵の放ったミサイルを撃墜した。

「よーし、僕の操縦テクが火を噴くよ!つかまっててね!」

風防が閉じ、急に機体が浮き上がった。

「じゃ、皆さんお元気でー!」

機体は急発進し、ぐんぐん高度を上げていった。

 

大気圏を抜け、戦闘機は宇宙空間を進んでいく。今まで捕まっていた惑星アルセナがどんどん小さくなっていくのが見えた。

「ふぅ、ここまで来れば当分大丈夫そうだね。さて、改めて自己紹介をしようか。僕はエリック。政府軍の特務大佐さ。ちょっとしくじって、敵に捕まってしまってねぇ。君は?新しく入った新兵の子?」

「わ、私は…話せば長いんだけど、兵士ではなくて…。」

ハルカはこれまでの経緯を話した。

「なるほど。つまり君は、アシュリー君を助けたら運悪くこんな事に巻き込まれたってことだね。ということは、ブレイズにも会ったのかい?」

「うん。私に戦い方を教えてくれて…。」

「そうかそうか!アイツもちゃんと仕事してるんだな!実はブレイズは僕の双子の弟なんだよ。」

「えー!そうなの?!性格全然違う…。」

「僕は知的でクールだからねっ!暑苦しい弟で迷惑をかけたね。」

ハルカは少し引きながらも、エリックに根掘り葉掘り質問を投げかけた。

 

しばらく経った後、エリックが話し始めた。

「さて、ハーネスはきっちり付けてるかな?」

「うん。何かあるの?」

「ちょっとね~。手荒な操縦するけど、頑張ってね!」

突然、警告音が機内に響き渡り、機体がぐるりと旋回し始めた。

「わわっ、どうしたの?!」

「敵戦闘機だ!頑張って逃げるから、しっかり掴まっててね!できれば、外を見張っててね!」

「ひええええ…!」

機体がぐるりと回転し、体に遠心力が加わる。体中の血液が足元に引っ張られる。そう思ったら、足に行った血液が今度は頭に上ってくる。それでも何とか、ハルカは外を見渡した。前方に小さな光点が見えた。

「もらった!」

二人が乗る機体から軽い振動と共にミサイルが発射され、音もなく闇に吸い込まれていった。数秒後、チカっと閃光が見えた。

「よし、一機撃墜!ハルカちゃん生きてる?」

「うう…何とか…。うまく行ったの?」

「まぁね。カッコイイ僕の姿を、目に焼き付けておいてくれよっ!」

すぐにアラートが響き渡り、それに合わせて機体は再びぐるりと回転、急旋回を始めた。これもミュータントの力か、普通であれば意識を失うような激しい戦闘機動でも、ハルカの意識はハッキリしていた。敵戦闘機は普通の人間が乗っているのか、エリックの操る機の方が動きは数段上であった。そうハルカが感心していると、急に機体を激しい振動が襲う。

「うわっ!」

「ハルカちゃん大丈夫?!ちょっと被弾しちゃった☆」

「私は大丈夫だけど、機体は?!」

「大したことないみたいだよ。じゃ、頑張ってね。」

「ひえええ…。」

何度かの激しい機動の後、急に静かになった。

「ふぅ、敵は全滅したよ。ハルカちゃん、無事かな?」

「な、何とか…。全部やっつけたの?すごい…!」

「でしょでしょ~。帰ったら皆に、エリックはカッコ良かったと伝えてね。」

「はぁ~い…。」

ハルカは呼吸を整え、少し目を瞑った。無事に帰れるだろうか、皆はどうしているのだろうか。今更だが、この人は信じてもいいのだろうか。いろいろな考えが頭をよぎったが、疲れ切ったハルカに深くは考えられなかった。ハルカは眠気に包まれ、少し抗いながらも意識は遠のいていった。

 

しばらくして、機体の急旋回に叩き起こされた。慌てて体勢を整えると、再び戦闘状態に入っていた。

「あ、おはよう!見ての通り戦闘中なんだけど、ちょっと厄介でねー…。」

「厄介?何かあったの?!」

「僕達を攻撃してるの、味方なんだよね…。」

「えーっ、そんなぁ!」

「敵の戦闘機を奪ってきたんだから、そりゃぁそうなるよね。」

周りには複数の戦闘機が飛び交っていた。ハルカにとっても見覚えのある機体だ。

「ね、何とかならないの?!」

「うーん、通信で呼びかけてるんだけどねぇ…。ダルク軍の今までの行いが悪かったからか、全然信用されてないみたい、てへぺろ☆」

「あわわわわ、せっかく逃げられたのに味方にやられるなんて…!」

機内にアラートが鳴り響く。同時に激しい機動が体中の血液を上へ下へと引っ張る。

「まずいなぁ、撃墜するわけにもいかないし、かと言って逃げないわけにもいかないし…。」

「エリック!右!右上!」

「え…?」

政府軍の戦闘機が、機関砲を放ってきた。

「クッ…ロックオンしないことで警告を出させないということかっ。それにしても、なんというテクニックだ…。良い鍛え方をしている!感心感心!」

「感心してる場合じゃないってぇー!」

ハルカが叫ぶと同時に、脳が揺れるような激しい衝撃がハルカたちを襲った。別の機が放った機関砲が命中したのだ。

「うわぁぁ!」

「きゃぁぁ!」

機体は制御がほとんどできなくなっていた。

「ハルカちゃん無事?!ああ、ついにやられてしまった…!1回目の攻撃は囮で、回避した先に別の機が待ち伏せしていたのか…。うーむ、ブラボー!」

政府軍機は編隊を組み、ハルカ達の機体から少し離れたところを並んで飛んでいた。

「ねぇねぇ、なんだかさっきに比べて動きがゆっくりな気がするんだけど…。」

「ああ、失礼。操縦不能なんだ。目の前の星に墜落してるんだよ。」

「え、それってヤバイ…?」

「うーん、まぁ脱出すれば大丈夫だと思うけど…。」

機体は目の前の惑星へと滑るように落ちて行っている。

「じゃ早く脱出しようよ!」

「そうだねぇ、いつエンジンが爆発するか分からないからねぇ…。」

「は、早くぅー!」

「分かった分かった。あーあ、この機体、無傷で持って帰りたかったなぁ…。」

エリックがレバーを引くと、振動ととも操縦席ごと機体から射出された。

「じゃ、そのままあの惑星に落ちるよー。しばらく空の旅を楽しもう!」

「ふう…良かった…。」

二人の乗った操縦席は大気圏を突破し、パラシュートを開いてゆっくりと地上へと降下していった。

 

 

あとがき

色々ありがながらも、何とか脱出に成功したっぽいですね~。思ったよりアッサリ脱出できたような、、、笑 次回も頑張って書くので、お楽しみに~!

 

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2023年12月3日