緋色のサファイア第7話

まえがき

ちょーっと忙しくて間が開いてしまいました!

前回、あんな事やこんな事をされていたハルカちゃん。今回は無事生還なるか?!

いや、、生還してもらわないと困るんですけどね笑 今回は変な人が出てきますw ゆっくりしていってください♪

 

前回のあらすじ

ダルク軍に捕まり、戦闘能力を把握するために無理やり戦わされるハルカ。敵軍リーダーのダルクとの激しい戦闘となり、一時は攻撃を命中させて大ダメージを与えるも、力及ばずハルカは倒れてしまう。ハルカの返り血を浴びたダルクは、血に触れたところの傷が治癒していることに気付く。ダルクはハルカの能力を研究すべく、徹底的にハルカの身体を研究し始めるのであった。

 

 

 

「うっ…頭痛い…。えっと…どうしたんだっけ…。」

気を失っていたハルカが目を覚ました。

「あ…。血を抜かれて、意識が飛んだんだっけ…。ん…?」

いつもの場所に、食事が置かれていた。パンとオムレツにスープがついている。

「わぁ、ご飯食べられる!やったー!」

運ばれてきて時間が経っているのか、少し冷めていた。それでも、疲れた体には染み渡るようだった。ハルカは夢中で食べた。

「おいしかった…!えへへ、幸せ~…。」

食事を済ませた後は、ベッドに横になった。頭痛もいつの間にか収まっていた。そういえば、最近はほとんど寝てしまっていて、あの声を聞いていない気がする。ベッドの金属部分に触れてみた。数分触れていたが、何も聞こえてこない。今日は何もないのかと思い、寝てしまおうとした時、声が聞こえてきた。

「すま…い…。しばら…てい…。あ…つの…るか…?」

久々の声に嬉しくなった。しかし、何を言っているのか聞き取れなかった。

「できそ…右手を上げ…れ…。」

できそうなら右手を上げろと言っているようだ。しかし、よく聞き取れなかったので上げなかった。

「もういち…おう…。…いつのどく…すりは…る…?」

何となく理解できた。あいつの毒の薬ができるか聞いているのだろう。あいつとは、恐らくキョウカの事だ。それならできると思い、少しだけ右手を挙げた。

「よし…。ワ…シの部屋…2…となり…。でき…らなげ…。」

2個隣の部屋に投げろということらしい。しかし見張りがいるし、物を投げたら絶対にバレる。

「んー、どうすれば…。っていうか、どんな解毒薬にすれば良いんだろう?毒にも種類があるし…。」

ひとまず、今までのキョウカが使っていた毒成分を思い出しながら作ってみた。問題無さそうな解毒成分は混合して合剤にした。3種類ほどになった。

「これとこれは、一緒に飲むとマズイなぁ…。どれか1つに賭けるしかないか…。どうやって渡そう?」

安全な渡し方が思いつかない。作った薬をスカートのポケットに入れ、少し横になって考えることにした。格子から手を伸ばして投げたら絶対にバレる。運ばれていく食事に投げて乗せようとしても、バレずにうまく乗せられるはずがない。連日の疲れで頭もあまり回らなくなってきた。しばらく休もう。呼び出しを受ける事もなさそうだ。ゆっくりと目を閉じ、ハルカは眠りについた。

 

目を覚ますと、既に食事が運ばれていた。どのくらい眠っていだのだろう。出された物を食べていると、近くでガシャンと鉄格子の開く音がした。キョウカの声が聞こえてきた。

「ほら、暴れるんじゃないわよ?ハァ、あなたの担当なんてツイてないわね…。どうせならハルカちゃんの方が良かったわ。」

「おやおや、そんなこと言わないでくれよ~。キレイなお姉さんにお世話してもらえて僕は幸せさっ☆」

楽しそうな声が聞こえてきた。もしかして、あれが謎の声の主だろうか。しゃべり方が全然違うが。そしてセリフが少しキモくて引いた。

「おっと、マッスルに力が入らなくなってきたねぇ…。いつものエキスかな~?」

「そうよ。余計なこと言わないの。ハァ…。ほら、さっさとオブシディアンを交換して。」

「ハッ、直ちに!」

兵士の声も聞こえる。カオブシディアンの手錠か何かを交換しているのか、チャカチャと音が聞こえてくる。ハルカにはそのような拘束具はついていない。声の主はよっぽど手強いのだろうか。

「あっ、今、力が入らないって言ってた…!今まで見た毒の中で、その作用があるのは…!」

聞こえてきた会話から、キョウカが普段その人に使っている毒の種類がかなり絞れた。

「この薬で解毒できそう…!あとはどうやって渡すか…。」

少し考え込んでいると、足音がこちらに近づいてきた。ハルカは慌てて薬をしまい込み、ベッドで寝たふりをした。

「あら…。ハルカちゃん寝ちゃってるの…。ゆっくり話せると思ったのに…。まぁ良いわ、おやすみ。」

足音は遠ざかっていった。何を話そうとしたのだろうか。

 

 

「おい、起きろ。」

少しして、ダルクが呼びに来た。眠ってはいなかったが、体を起こすのが少し億劫である。今度は何をするのだろうか。ダルクが入ってきて、腕をつかんで力を出せないようにし、その間に兵士がオブシディアンの腕輪を付ける。

「今日は何をするの…?」

「なに、血液を採るだけだ。今回は採りすぎないようにする。」

前回と同じように拘束され、採血を受けた。今回は意識を失う前に解放してもらえた。足元は少しふらついたが。

 

兵士に肩を貸され、収容室に戻ってきた。自分が入れられている牢が近付いてきた。

(そうだ、ここで暴れて、どさくさに紛れて薬を投げれば、声の主に渡せるかもしれない…。)

少なくとも実験材料にされている間は、殺される事はないだろうと踏んだハルカは、兵士らを振り切ろうと力を振り絞って暴れだした。

「おい、なんだなんだ?!」

「クソッ、待て!」

これまで大人しくしていたので、兵士たちも油断していたのだろう。うまく兵士を振り切って奥に走り出した。

「あうっ…!」

すぐにハルカは床に叩きつけられた。後ろからダルクが掴みかかったのだ。

「逃げられるわけないだろう。これ以上痛い思いをしたくなければ、大人しておくんだな。」

「ううっ…。」

ハルカは奥の牢に目をやった。床に倒れこむ直前、薬を充填したカプセルを投げておいたのだ。オフホワイトに色を付けておいたカプセルは、そのまま奥の鉄格子の隙間へと転がっていった。幸運な事に、誰もそれに気付いていないようだった。

 

牢に放り込まれた後、早速ベッドの金属部分に触れた。少しすると声が聞こえてきた。

「よく…たぞ…。直前…めば…のか…?」

直前に飲めば効くのか聞いているのであろう。監視カメラに背を向けたまま、ゆっくりと頷いた。

「わか…。あと…まかせて…お…。」

そこから声は聞こえてこなくなった。どうするのかは分からないが、任せておいていいらしい。それにしても、あの楽しそうな声の主とこの謎の声の主は同じなのだろうか。心に余裕がなく、あまり疑いもせずに信じてしまった事にハルカは少し不安になっていた。

「今更気にしても遅いよね…。今日は休もう。」

食事をとり、ハルカは眠りについた。

 

「…ん、なに…?」

何やら頬をつつかれた気がした。ゆっくり目を開けると、誰かが目の前にいた。

「誰…?」

「おはよう、お嬢さん。白馬には載ってないけど、王子様が助けに来たよっ☆」

「…え…?」

そこには、ワイシャツを着た、背の高い男が立っていた。ハルカは状況をよく理解できていなかったが、どうやら王子様が助けに来てくれたらしい。

「ほら、ぐずぐずしてないで逃げるよ!手を取って。」

「う、うん…。」

男はハルカの手を取り、さっそうと部屋から駆け出して行った。牢の外には、見張りの兵士とキョウカが倒れていた。まさか、気付かないうちに倒したのだろうか。思った以上に速く走るので、ハルカは付いて行くのに精いっぱいであった。

「名乗り遅れてすまない、私の名はエリック。君の名は?」

「ハァッ、ハァッ…。私?ハルカって言うんだけど…。」

「そうか、良い名前だ。君のおかげで助かったよ。帰ったら結婚しよう。」

「いや、それはちょっと…。」

「なに、冗談さ。さぁ、こっちに飛行機があるはずだ。もう少し走るよ!」

「なんで分かるの?」

「話はあと!とりあえず、僕を信じて付いて来て。」

 

走っていると、目の前に敵兵士が数人現れた。オブシディアンの槍を持っている。

「止まれ!」

「おやおや、女の子の前で良い所を見せるチャンス…!」

エリックが手を前に突き出すと、バリバリという音とともに閃光を放った。その眩しさにハルカは思わず目を瞑った。

「さあ行くよ!扉のロックも解除した!」

目を開けると、兵士たちは倒れ、痙攣を起こしていた。その後も、何人かの兵士を倒し、いくつもの扉を抜けた。一段と厳重な扉を突破すると、冷たい風が吹き込んできた。外に出られたようだ。あたりは暗かったが、いくつものライトが外を照らしていた。

「よし!あと少し、頑張って!」

「う、うん!」

エリックはハルカの手を取り、二人で闇の中へと駆けていった。

 

 

あとがき

まさかまさかの急展開!そろそろ脱出させてあげないとハルカちゃんに怒られますからねw 次回、無事に脱出なるか?!楽しみにしててください♪

 

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2023年12月3日