緋色のサファイア第6話

前書き

やっと更新です!ちょっと色々忙しくて書く時間が取れず、、、っていうか、創作してると年末ってクリスマスとかお正月があって忙しすぎでは、、、?!

※本エピソードは2021年大晦日に滑り込みで投稿してますw

あっ、今回はハルカちゃんがあんな事やこんな事されますw ゆっくり見ていってください~笑

 

 

前回のあらすじ

全くの偶然から銀河政府軍と反政府軍(通称ダルク軍)との戦争に巻き込まれた少女ハルカは、政府軍に保護され基地で様々な教育を受けながら過ごしていた。ある日突然、ダルク軍がハルカのいる基地を襲撃し、その戦闘の最中に拉致され、ハルカはダルク軍の本拠地へと連れてこられた。閉じ込められ、オブシディアンで能力を封じられた以外は特に何もなく過ごしていたが、ある日、敵リーダーであるダルクにテストをすると言われ連れ出された。

 

 

「ちょっと、やめてよ!」

「うるさいな…。おい、手術台に固定しろ。」

「了解です!」

暴れるハルカを数人の兵士が抑え、手術台に固定した。すぐに口元にマスクがつけられる。

「ひょっ、なん…。」

すぐに元気さはなくなり、ハルカはぐったりとして動きが鈍くなっていった。

「ん…っく…絶対……。」

そのまま意識を失い、全く動かなくなってしまった。

「まったく、元気な奴だ。麻酔が効いたのはコイツが対応できないからなのか、それとも能力を封じているからなのか…。まあいい、細胞を採取しろ。」

手術着を着た兵士数人が慣れた手つきで皮膚を切開し、臓器の一部をごく少量切り取っては培養液に浸していった。兵士が傷口を縫おうとすると、ダルクが止めた。

「待て。オブシディアンを外してみろ。」

「しかし…。」

「大丈夫だ、暴れても俺が抑える。」

「りょ、了解…。」

兵士がハルカの腕につけたオブシディアンを外した。すると、ハルカの傷は見る見るうちに塞がり、元通りになった。

「おおっ…なんと言う…。」

「やはりな。そういう能力だ。もういいだろう、独房に戻しておけ。」

「ハッ!」

ストレッチャーに載せ替えられ、ハルカは独房へと戻されていった。

 

数時間後、ハルカは意識を取り戻した。

「んっ…。なんだか頭がぼーっとする…。あっ、私、連れていかれて…。あまり覚えてないや…。あ、そうだ。」

ハルカはベッドの金属部分に触れた。だが、前の声は聞こえてくることはなかった。

「うう、どうしたらいいんだろう…。っていうかお腹すいたなぁ…。」

ベッドで休んでいると、食事が運ばれてきた。パンと魚と野菜のスープ、デザートに大きなプリンがついている。

「やった!いただきまーす!おいしそう!」

囚われの身になってから、食事だけが楽しみである。

大喜びで食べ、ハルカは横になった。少しまどろみながらベッドの金属部分に触れた。前の声が聞こえてきた。

「お疲れ…ま…。あ……生き…」

よく聞き取れなかったが、眠気には抗えず、そのまま眠りに落ちた。

 

翌日、朝食の後にハルカはまた兵士に連れ出された。ダルクもいる。

「もー、今日は何をするの?!」

「元気だな。今日は運動会だ。」

「うんどうかい??」

連れてこられたのは、所々に障害物のようなものが設置された部屋だった。兵士たちはハルカのオブシディアンを取り外した。

「えっ、逃がしてくれるの?」

「勝てたらチャンスをやる。お前の戦闘能力を今から見るのだ。」

「えっ…。それって戦えってこと…?うわっ!」

黒い小さなナイフが飛んできた。間一髪でハルカは避けた。

「うわわっ、やるしかないか…!」

「やる気になったか。真面目にやらないと死ぬぞ。」

ハルカもガンマナイフを展開し、飛んでくる漆黒の刃をかわし、かわし切れない物は打ち払った。

「ハァ、ハァ…。あまり接触しない方がいいのは分かってるけど、全部は避け切れない…。」

「なかなかいい動きだ。」

ダルクは余裕の表情である。受けてばかりでは先にハルカの方がエネルギー不足になってしまうのは明白だった。

「攻めるしかない…!」

一転、ハルカは攻撃に転じた。手のひらサイズのカプセルを作り出し、ダルクめがけて発射した。

「ほぉ、このような事もできるのか。」

カプセルはダルクを追いかけるが、ある程度接近したところでダルクが投げたナイフが直撃した。その瞬間、カプセルは大爆発を起こした。

「フン、なかなかの威力だ。」

煙の中からハルカは飛び出し、ガンマナイフでダルクに斬りかかった。ダルクは黒剣で受け止める。

「いい連続攻撃だ。あのカプセルを囮にしたということか。だが動きに無駄が多い。」

「まだまだっ!」

次の瞬間、ハルカはスッとナイフを手放し、新しいナイフを展開して斬りかかる。

「前と同じ仕掛けは通用しないぞ。」

ダルクも自らの剣を手放し、新しい剣でハルカの斬撃を受け止める。

「ダメかっ…。」

ハルカは一旦距離を取る。

「次はこちらから行くぞ。」

ダルクが無数の投げナイフを投げてくる。

「うわわっ、こんなの避けるので精いっぱい…!」

障害物を利用しながら、ハルカは右へ左へとかわし続ける。

「ハァッ、ハァッ…何発投げるのよ…!もう脚が動かない…!」

動きが鈍ったところに、攻撃がさらに飛んで来る。ドスッという鈍い音とともに、ハルカは地面に転んだ。脚と腹部にナイフが刺さっていた。

「うっ…。っっくっ…。」

「その程度でへばるとは、まだまだだな。すぐ楽にしてやる。」

ダルクの歩いてくる音が聞こえる。痛みと、ダルクの能力であるエネルギー吸収により思うように体が動かない。それでも何とか後ずさりをする。

「殺しはしない。安心しろ。」

ダルクがあと数メートルのところまで近付いてきた。次の瞬間、轟音とともにハルカは吹き飛ばされた。

「きゃああ!」

ハルカは数回転し、障害物に当たって止まった。煙が晴れると、離れたところでダルクが膝をついていた。

「やるな…。まんまと引っかかっちまった。」

攻撃を回避しながら、ハルカは地面に爆薬を仕込んでいたのである。そこにダルクを誘導したのだ。ダメージはかなりあったようである。しかし、倒すまでには至らなかった。

「あれでも耐えられるの…。どうすれば…。」

宙を舞う灰塵がハルカの目を刺激する。刺激に思わず目を閉じた次の瞬間、ダルクの姿がスッと消えていた。

「やば…!」

ダルクの剣先が自分の元へ向かってくるのが見えた。何とか反射的にナイフで受け止める。激しい捌き合いが始まる。鈍い音があたりに響き渡る。

(息ができない…!息を付いたら集中力が切れちゃいそう…。)

息もつかせぬ猛攻撃とはまさにこの事であった。ハルカは必死に剣を受け止める。だが、もう傷ついた体には限界だった。

「あうっ…!」

ダルクの剣先がハルカの首元から胸にかけて傷をつける。すぐに血が飛び散る。

「うあっ…!?」

ハルカは力なく倒れこんだ。

「何?!これは…?」

返り血を浴びたダルクは驚いていた。

「傷が治って行く…?ほぉ…。」

ダルクはハルカにオブシディアンの腕輪を付けた。ミュートエネルギーを使えなくなったハルカは痛みと疲労ですぐに気を失ってしまった。

「おい!コンバットテストは終わりだ!医務室に運ぶぞ!」

 

 

「おい、採血具をくれ。」

「採血程度なら我々が…。」

「オブシディアンを付けていない状態の血液を採取したくてな。普通の人間では針を通せない。」

「な、なるほど…。」

オブシディアンを外すと、ハルカの傷がスッと治っていった。ダルクは手早く遥かの血液を採取した。

「よし…。俺は少し実験をしてくる。ハルカは独房に戻しておけ。」

「ラジャー!」

ハルカは兵士たちに独房へと運ばれていった。

 

 

ダルクは血液をもって、別の独房に向かった。

「さて…実験の時間だ。脱走兵。」

「お、お許しください!どうしても恐怖で…!」

「敵前逃亡は本来その場で死罪だぞ?実験材料として生き永らえられるだけありがたいと思え。まずはこのカメラカプセルを飲め。これで胃の中を撮影する。」

小型カメラが入ったカプセルを脱走兵に飲ませた。

「映像はどうだ?」

「ハッ、きれいに映っております。」

別の兵士がカメラの映像を確認する。

「しっかり録画しておけよ。」

ダルクは能力で作り出した黒剣ではなく、通常のナイフで捕まっている兵士を刺した。

「ぐわあっ!」

「情けない声を出しやがって…。おい、傷口の写真も撮っておけ。」

別の兵士が傷口の写真を撮る。

「ダルクさん…傷けっこう深いですよ…?!」

「まあそうだろうな。胃まで貫通しているだろう。だがそれで良い。」

胃カメラの映像を見ると、胃壁からナイフの先端が出ているのが分かる。

ナイフを抜き取り、ダルクは持ってきたハルカの血を傷口に流し込んだ。少しした後、確認すると傷が塞がっていた。

「ほぉ…。これはいけるぞ…。」

「治ってる…?!すごい…!」

撮影していた兵士が感嘆の声を上げる。

「胃の映像はどうなっている?」

「血が残っているのでやや見づらいですが、傷は塞がっているようです!」

「おお…。素晴らしい…。おいお前、痛みはあるか?」

「急に痛みが引きました…!」

囚われている脱走兵の険しい顔はなくなり、安心した表情となっていた。

「もっとデータが必要だ…。明日、ハルカをもう一度使う。」

「ラジャー!手配しておきます!」

 

こうして長い一日が終わった。

 

 

翌日

「んっ…。昨日はひどい目にあったなぁ…。あれ、オブシディアン付けてるのに傷が治ってる…。」

「やっと起きたか。もう実験の時間だぞ。」

兵士が迎えに来た。

「えー!ご飯は?!」

「今日は抜きらしい。こんな時でもメシの心配か…。」

「そんな…うう…。」

「ほら、行くぞ!」

 

ハルカはそのまま実験室に連れて行かれた。実験室には拘束具と、医療器具のようなものが並んでいる。ダルクも待ち構えていた。

「今日は何を…。」

「血を取るだけだ。痛くはないさ。」

「えー、なんか嫌な予感がする…。」

ハルカは磔にされ、採血用の針を刺された。高速具には薄い透明のプラスチックのようなものでコーティングされていた。

「よし、無駄な抵抗はするなよ?ま、下手に暴れれば、高速具のコーティングが割れてオブシディアンが接触するようになっているんだがな。」

「わ、分かったよ…。」

針につながっている管からは血液が滞りなく流れ出し、容器に血がたまっていった。

 

数十分後

「ハァ、ハァ…。血、採りすぎじゃない…?なんだか、頭がぼーっとする…。」

すでに採血量は800mLを超えていた。ハルカの意識は薄れ始めていた。

 

 

「うう…もうだめ…。」

体からは冷や汗が噴き出し、手足には力が入らなくなっていた。そのまま意識を失ってしまった。

「もう限界か。この辺りにしておくか…。オブシディアンを付けるのは1時間ほど待ってやれ。あと輸液をしてやれ。」

「ハッ!了解しました!」

ぐったりと動かなくなったハルカを兵士が運び出す。採取した血液を見ながら、ダルクは不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

あとがき

更新遅くなってごめんなさい!あんな事やこんな事をされるハルカちゃん回でしたw そろそろ脱出させてあげないと怒られそうなので、次回もちゃんと続き書きます笑 お楽しみに~!!

 

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2023年12月3日