緋色のサファイア第5話
まえがき
ちょっと色々忙しくて遅くなりましたゴメンナサイ!連れていかれたハルカちゃんはいったいどんな目に遭わされるのか?!作者もドキドキしています笑 楽しんでもらえると幸いです!
前回のあらすじ
ハルカ達の基地がステルス戦闘機による奇襲を受け、基地は混乱状態に陥る。ハルカは無断で基地の外に出てしまっており、ハルカが基地内にいないと知ったブレイズが捜索に乗り出す。その道中、敵幹部のキョウカと、さらには司令官であるダルクと交戦状態となる。2対1でブレイズは大苦戦を強いられ、遂には倒されようとした瞬間、間一髪でハルカが合流し、激しい戦いとなる。奮戦するも、一瞬の隙を突かれてハルカは連れ去られてしまう。
ブレイズ達がいる惑星サルフの基地では、怪我人の治療、基地の修復が進んでいた。
「ちくしょう!はよ殴りこみに行くぞ!あんにゃろ、バカにしやがって!」
「落ち着けってブレイズ…。何の策もなく潜入できるわけないだろう…。」
「そりゃそうやけど…。」
「本部が今作戦を練っているそうだ。今回は民間人だし、軍も必死だろうな。しかし1か月くらい前にエレック大佐がさらわれた時の救出作戦は失敗したからなぁ…。」
「あんなムカつく奴、どうでもいい!あーもう!じっとなんてしてられへん!」
「まぁそう言うなって。本当は二人とも心配してるんだろう?」
「ちゃ、ちゃうわい!そらハルカは心配やけど、あいつの事はなーーんも心配してへん!」
「はいはい。ま、さらわれたという事は殺されるわけではないだろうから、命だけは大丈夫なはずだ。」
「そうやけど…。それにしても、軍の情報も持ってないような女の子さらって、何が目的なんやろな…。」
「ミュータントを狙っているらしいんだが…。目的は分からないな…。良からぬ事をしているのは確実だろうが…。」
いくら考えても解決法なんて思いつくはずもなかった。二人はハルカを心配しながら、基地施設の修復を手伝った。
「スチュワート少尉、すまんが倉庫からこのリストにある物を取ってきてくれないか。」
「ハッ、了解しました!速やかに!」
ミアは医官の手伝いで、負傷兵の手当に当たっていた。ハルカに講義をしていた部屋も、今では仮設の医務室として機能していた。
「ふぅ、ハルカさんがいれば、すぐに全員治して貰えそうなんですが…。ハルカさん、無事でしょうか…。」
倉庫で目に涙を浮かべながら、ミアはひとり呟いた。
「泣いている場合ではありませんね、しっかりしないと…。」
必要な器具を台車に乗せ、負傷兵が待つ仮設医務室に戻っていった。
惑星アルセナ、ダルク軍の本拠地
ハルカは毒に侵され、気を失っていた。地下深く、ミュータント用の牢屋にハルカは運ばれた。
「ハルカはM-3の部屋に入れておけ。」
「了解。そこなら、もう一人と何か企てられる事もなさそうね。」
ハルカにオブシディアンの腕輪を付け、キョウカはハルカを独房に放り込んだ。
「また後でね。新しい実験材料ちゃん。」
キョウカは独房を後にした。
数時間後、ハルカは目を覚ました。
「ん…ここは…。あ…私、やられちゃって…。」
まだ頭が回らなかった。だが、いつもの部屋ではない。薄暗い、空気も重苦しいところだった。黒い腕輪がはめられているのに気付いた。
「うわっ、何これ?!オブシディアンじゃん!!」
部屋の一面は鉄格子になっていた。
「おいおい、静かにしろよ。」
「へへっ、でも女の見張りができるなんて、ラッキーじゃねぇか。」
外から声がした。見張りの兵士のようだ。2人いる。監視カメラもある。
「ねー!ここどこなの?出してよ!皆のところに帰して!」
「うるさい女は嫌いだぜ…。ここはダルク様の本拠地さ。帰せるわけないだろう。」
「えー…。私帰れないの…?」
ハルカはがっかりしてベッドに横になった。もうここから出ることはできないのだろうか。ダルクに捕まったという事は、ただじゃ済まないのではないか。痛いことや苦しいことをされるのではないか。いろいろな考えが頭の中をぐるぐる駆け回った。考え事をしていると、不安になってきた。
「ぐすん…もう…皆に会えないの…?やだよ…。帰りたいよ…。私どうなっちゃうの…?」
ベッドで一人泣いてしまった。外の兵士から、舌打ちをする音が聞こえてきた。寝返りを打ち、ベッドの金属部分に体が触れた。ひんやりした感触がした。その時である。
(聞こ…るか…。落ち着…。)
「誰…?」
ハルカは起き上がってあたりを見回した。何も聞こえてはこない。気のせいだろうか。ベッドの金属部分に手をかけた。また聞こえた。
(何もしゃ…るな…。気付かな…フリをし…。)
雑音が混ざっているが、声が聞こえる。いや、聞こえるというよりは頭の中に直接話しかけてくるようだった。
(大丈夫…。カメ…から見えて…る…。ワタ…味方…。聞こえ…右…あげ…。)
ハルカは聞こえていないフリをして、声を聴いた。金属部分に触れている間は声が聞こえるようだ。男性の声のようだった。右手を上げろという事だろうか。試しにやってみた。
誰か分からないが、味方だと言っている。今は信じて託すしかなさそうだった。
(よし…。君の…力…何…。何と…教え…ほし…。)
私の能力?この声の人に伝える?どうやって…?いきなりの事でハルカは混乱していた。だが、何とか伝えなければと思い、考えを巡らせた。
(大声…言って…。近く…や…。)
大声で言ってみろと言うことだろうか。しかし、いきなり大声で自分の能力を言えば不自然だ。目の前の2人の監視員との会話で何とかならないかと考えた。
「ねー!話し相手になってよ!」
「チッ…うっせえなぁ…。」
「いいじゃねぇか。女の子と話せる機会なんてそうそう無いぜ?」
「勝手にしろ。俺はちょっと抜ける。」
「あいよ。で、お嬢ちゃん何の話がしたい?」
「おじさんも何か能力持ってるのー?」
「なーんも持ってねぇよ。ただの人間さ。お嬢ちゃんは薬使いだろう?キョウカの姐さんが、面倒な奴が現れたってぼやいてたぜ。」
「そう!!私!!!!薬使い!!!!」
「うわっ、何だよいきなり大声出して…。」
「ありがと!なんだか疲れたからもう寝るね!」
「あ、ああ…。おやすみ…。」
予想以上にうまくいった。少し不自然だった気もするが。すぐにベッドの金属部分に触れてみた。
(そん…大声…言わ…くても…。だが…いぞ…つ…え……だ。かな……た……ぞ…。)
よく聞き取れなかったが、そこから声はしなくなった。どうしろというのだろうか。そもそも今の声は誰なのだろう。これからどうなってしまうのか。ぐるぐると考えだけが廻った。考えすぎて少し疲れたハルカは、ゆっくりと眠りに落ちた。
「おい、起きろ。」
「ん…。何…?」
兵士の声で目が覚めた。鉄格子の一部が開き、食事が運ばれてきた。そう言えば戦ってから何も食べていなかった。
「やった!お腹空いてた…助かった…!」
魚の素焼きに、塩辛さのある濃厚なスープ、ライスだった。少し懐かしい気がする。ハルカは夢中で出された食事を食べた。
「お、おいしいかった…!ごちそうさま。」
こちらに背を向けていた見張りの兵士が急に振り返ってきた。
「ん…?どうしたの?」
「何でもない。食器を片付けるから、こっちに持ってこい。」
「はぁーい…。」
別の兵士にオブシディアンの槍を向けられながら食器を元の所に置くと、別の兵士に片付けられていった。
数時間後、ダルクがキョウカと兵士を引き連れてやってきた。
「わわっ、何?!」
ハルカは慌てて後ずさりする。
「キョウカ、もう一人のを頼む。俺はコイツのテストをする。」
「りょーかい、こっちが終わったら見に行くわ。」
「任せたぞ。おい、ハルカを連れ出せ。」
「ハッ、了解です!」
「あわわわ…ちょっと…!」
監視の兵士がハルカを強引に連れ出す。オブシディアンにより力を奪われたハルカは大した抵抗もできず、目隠しをされてただ連れていかれるだけだった。
「うう…ひどいことしないでよ…。」
泣きそうになったが、グッとこらえて冷静さを失わないように常に脱出の手段を考えていた。考えることをやめれば状況は悪くなる一方である。ブレイズに教わったことだ。ハルカは兵士に腕を掴まれ、とぼとぼ歩いて行った。
あとがき
案外、美味しいごはんもらえてるみたいで良かったですw 次回は何かテストされる予定です。テスト、、、もう二度と受けたくないですね、、、笑 学生時代はテスト期間死んだ顔してましたw 次回もお楽しみに~!
キョウ…解毒……れたら…。)
なんとなく分かったが、最後が聞き取れなかった。1分ほど待つと、もう一度聞こえてきた。
(げ……やく作れ…2個…りの…やに投げ…。)
解毒薬を作って2個隣の部屋に投げろということだろうか。きっとそうだ。ハルカは右手を挙げた。
(たの…ぞ。…きは…らず…る。)
よく聞き取れなかったが、そこから声はしなくなった。
あとがき
実はこの話を書いた当初、あとがきを書き忘れてました、、w
今見返すと懐かしいですねぇふへへ、、(^ཀ^)
この辺の絵も描き直したいところですが、面倒なので当時を大事にしてそのままで行きましょうw