まえがき
何故、月日が経つのはこんなにも速いのか…。前の話を作ってからあっという間に間隔が空きましたw
平和回ですが、何かが動きだしそうな予感ふへへへ、、w
前回のあらすじ
惑星アルムにキョウカ率いる反政府軍が襲来し、偶然近くを移動中のハルカも戦闘に参加した。ハルカガキョウカを引き付けたおかげで何とか守備隊は勝利したものの、戦闘中に大けがを負ったハルカは行動不能となる。持ち前の回復力ですぐに傷は塞がったものの、精密検査のためにも本来の目的地であった惑星フェロナに搬送された。アシュリーらも遅れてフェロナに到着し、しばしの休息を得るのであった。
本文
銀河政府大統領から面談希望の知らせを受けた翌日、一行は制服をビシっと決めて集合した。今回はハルカ単独で、との依頼だったのだが二人は心配過ぎてこっそり画角外から監視することにしたのだ。ハルカも珍しくスーツを着ている。
「ハルカさん、スーツけっこう似合いますね!スカート短いのが……ふふふ……」
ミアがハルカのスーツ姿にウキウキしている。
「このスカート選んだのミアじゃん…。そう言えば、向こうと1日の長さって一緒なの?」
「ああ、人類は一日がだいたい24時間の星を選んで住んでるからな。時差は当然あるが」
たわいもない話をしていると、約束の時間が近づいてきた。
「うう、緊張する……。ハルカさんヘマしないでくださいね?」
「任せといて!敬語もちゃんと勉強したから!」
ハルカがやらかす気しかしないミアは心拍数が上がっていた。予定時刻から数秒が過ぎると、待機中の画面が切り替わり初老の男性が映し出される。
「やぁ、来てくれてありがとう。私はカイル・エバンスだ。大統領らしいがあまり気にしなくていい。あと、多分めったに出演しないから名前も覚えなくていい」
「おはようございますでありますダイトーリョー!ハルカだよー!」
早速、敬語を忘れていた。教育係であるミアは、画面に映らないところで絶望的な顔をしている。
「噂には聞いていたが、こりゃ元気な子だなぁ!いやいや、大勢の市民を救ってくれたというのに挨拶が遅れてすまないな。ケガはもう良いのかい?」
「大丈夫!骨がまだ痛むけど、ほとんど治ったよ」
もはや友達感覚でハルカが受け答えをする。
「うむ、それなら良かった。さて、早速だが君に聞きたいことがある。あまり時間が取れないから単刀直入に聞くが、良いかね?」
大統領の目が鋭くなったのが、画面越しにも伝わってきた。だが敵意は感じられなかったからか、ハルカはきょとんとしている。
「君は何を思う?実際に最前線にいる君の意見を聞きたい」
数秒の沈黙が場を支配する。
「うーん……お菓子食べたい。」
アシュリーとミアは最早呆れて言葉が出てこなかった。言葉で戦うのが仕事の大統領も、表情こそ変わらなかったが全く何と言って良いか分からず数秒固まってしまった。
「うん、まぁ……そうだよな。私もお菓子食べたい」
困惑しながらも、大統領は話を続ける。
「もっと具体的に聞く方が良さそうだ。実はね、君は短期間のうちに敵幹部とよく遭遇しているんだよ。ブレイズたちは彼らを追いかけてもなかなか会えないというのにね。でだ、君から見て敵は何を考えていそうと思うかな?」
「あ、そういう事!うーん、そうだなぁ……」
少しハルカは考え込む。全てが新鮮に感じる毎日を必死で生きてきて、これまで敵の事など考える暇はなかった。
「よく分かんないけど、何かを埋めようとしてるんじゃないかな?」
ほぉ、と大統領は感心したようにハルカを見つめる。
「そうか、ありがとう。やはり現場の視点は参考になったよ。あと、これは聞き流してくれて構わないんだが……」
少し言うのをためらって、大統領が続ける。
「思っている以上に、世の中は複雑だ。皆のために戦っても、嫌われることだってある。自分を見失わないでくれ。またゆっくり話をしよう。お菓子を食べながらね」
「う、うん……。じゃ、またね」
大統領はハルカに手を振り、そのまま接続は切れてしまった。緊張がほどけ、部屋には安堵の空気が広がる。
「もぉー、ハルカさんちゃんと敬語使って丁寧に対応してって言ったじゃないですか~!何度も心臓止まりそうになりましたよ」
「流石の俺も、今回は色々覚悟したぞ。俺、まだクビになってないよな……?」
2人は胸をなでおろし、上着をほっぽり出してハルカのベッドに倒れこむ。
「もー、二人とも心配しすぎだよー。味方なんだから話せば伝わるって」
ハルカはベッドで力なく横たわっている二人の姿に呆れている。単に友達と少し電話したかのような気楽さである。
「最後、大統領は何を言いたかったのかな?結局5分くらいしか話さなかったけど…」
「さぁー……。ま、大統領みたいな目立つ仕事してると色々な所にアンチが湧くからな。ハルカもそういうのが来ても気にすんなって事じゃないか?」
「ふーん、そっか…。頑張ってるのになぁ…」
ハルカの顔が少し曇り、考え込むように床を見つめる。数回の瞬きののちに椅子から立ち上がり、ドアに手をかける。
「ん?どこ行くんだ?」
「売店にね。みんなの分のお菓子も買ってくるね」
ハルカはゆっくりと部屋を後にした。アシュリーは、彼女がそう言って振り向くときに少し寂しそうな表情をしていた気がしていた。その顔が、心に魚の小骨のようにつっかえるのであった。
あとがき
ハイ、大変平和な回でしたねw オンライン面談で味方がやっちまってドキドキするのは私も経験があります笑 私もどこかでやっちまってるんですかねぇ、、笑 次回もお楽しみに~!