緋色のサファイア第15話

まえがき

めっちゃ間が空きました! いや違うんですよw ちょっと日常が忙しくて、、、笑 ええ、ちゃんと反省していますよw 今回も楽しんでってください(^ཀ^)

 

 

前回のあらすじ

 

ハルカたちは輸送機にて移動中、キョウカ率いる敵軍舞台から襲撃を受けていると惑星アルムから緊急連絡が入った。一般兵ではキョウカに有効打を与えられないことから、直ちに支援に向かった。味方の政府軍と合流し、ハルカはキョウカと激しい戦闘を繰り広げる。その隙に政府軍は敵を押し返すが、数十分にわたる戦闘に疲れを見せたハルカの体を遂にキョウカのムチが貫いた。

 

 

「ぐ…うっ…。」

体を貫かれ、ハルカは今にも倒れそうになっていた。

「あら、思ったより静かなのね。毒も入れちゃえば叫んでくれるかしら?」

そう言うとキョウカは、ムチを通じてハルカの体内に毒を少し注入した。

「う…うわあああ!」

ハルカが苦しみに悶える。

「うーん、良い声ね。私が言うのもアレだけど、死なないでね?」

「うう…。」

ハルカは何とか意識を保っていた。しかし、戦う力が残っていないことは明白だった。

「さて、このまま連れて帰っちゃおうかしら?もう少し遊んであげたい気もするけど…。」

そう言うと、キョウカは悪戯をするようにムチを少し引っ張った。

「あうっ…。くっ…。」

ムチの動きに内臓が刺激され、ハルカから苦痛の声が漏れる。腹部からは血がしたたり落ちる。キョウカはハルカの苦しむ様子を見て楽しんでいた。

 

ハルカをもてあそぶ所を見せつけられ、ミアは怒りでいっぱいになっていた。

「あいつ…!私が一矢報います!」

「待て、早まるな!」

アシュリーがミアを制止する。

「一瞬だったが、ハルカが何かの合図をしたように見えた。何か考えがあるんじゃないか?」

アシュリーはハルカの不自然な動きを一瞬見たような気がしていた。単なる見間違いだろうか?ハルカ救出のために犠牲を覚悟で突撃するか?アシュリーは判断を迫られていた。どうしたら良いか分からず、一瞬空を仰いだ。その瞬間、上空から何かが落ちてくるのが見えた。彼女の意図が分かった気がした。

「あれは…?総員、伏せろ!」

無線での呼びかけと同時に、味方が全員地面に伏せた。少し遅れて、力を完全に失ったかのようにハルカがその場に倒れこんだ。

「あら、もう終わり…?」

キョウカは少し残念そうにつぶやく。しかし一瞬、ハルカの顔に浮かぶわずかな笑みが視界に入る。その瞬間、鳥肌が立ち、寒気が広がるのを感じた。全身に悪寒が広がる前に、視界が真っ白になった。

 

「きゃああああ!」

無線でミアの叫び声が聞こえた。爆風があたりを覆った。1秒にも満たないうちに、誰の声も聞こえなくなった。

少しして、土煙が晴れてきた。

「何とかやり過ごしたか…。総員、無事か?状況を報告せよ。」

「ぴええええ!大丈夫です!」

「ぶ、無事であります…!」

味方兵士全員の無事を確認した。少しだけほっとした。アシュリー達があたりを見回す。見覚えのある青い服が、砂に汚れて白っぽくなっているのを見つけた。数メートル離れたところには…キョウカが倒れている。

「くそっ、無茶しやがって…。チャーリーチームの2人とミアは俺と一緒に突撃してハルカを救出!キョウカが来たら俺がやる!他の者はあたりを監視、接近する敵兵を見つけ次第攻撃せよ!」

アシュリーとミアがハルカの救助にかかる。アシュリーは銃を捨て、キョウカとの戦闘用にオブシディアンの槍を装備する。ミアと合流し、ハルカに近づく。

「銃捨てて大丈夫ですか?私あまり自信ないんですけど…。」

「槍と一緒に装備はできん。頼んだぞ、ミア。」

敵兵が2人、こちらに銃口を向けていた。

「ちっ・・・!」

「ほらー!なんで銃捨てたんですかーっ!」

ミアの叫び声をかき消すように乾いた銃声が聞こえた。もうダメかと思ったが、倒れたのは敵兵の方だった。味方の援護射撃のようだ。

「後でおごってくださいよ!」

味方兵士が冗談を飛ばす。その声に冷静さを取り戻す。

「ピーナッツでもおごってやるさ!」

「ケチだなぁ…。」

味方の支援もあり、ハルカの元へ無事に辿り着いた。うつ伏せになっているハルカを抱き起こす。幸い、手足は揃っていたが血まみれでボロボロだった。キョウカに貫通された腹部からの出血は、思ったより少なかった。

「ハルカ!生きてるか?!」

「ハルカさん!返事してください!」

2人がハルカに呼びかける。その間に、同行した二人の兵士が周辺を警戒する。

「ううっ…。アシュリー…?ミア…?」

ハルカが今にも消えてしまいそうなか細い声で答える。

「生きてるならもう喋らなくて良い!早く撤退するぞ!」

「ラジャー!よっと!」

兵士がハルカを担ぎ上げる。その間に、アシュリーがキョウカを探す。砂埃に紛れ、誰かが立ち上がろうとしているのが見えた。

「やはり生きていたか…!お前らは先に行け!後で追いつく!」

「それ死亡フラグ!生きて帰ってくださいよ!」

他の兵士を逃がし、アシュリーがキョウカを迎え撃つ。緊張感が辺りを包み込み、肌に砂埃がまとわりつく。

 

「いったい…。ひどい目に遭ったわ。あら、あなた…。」

キョウカがアシュリーに気付く。

「あなた、うちのボスとそこそこやり合ったすごい子じゃない。今やり合ったら、流石に無事では済まされなさそうね。」

「覚えておいてくれて光栄だ。覚悟しろよ?」

「ふーん、前会ったときは女の子に守ってもらってたくせに。」

お互い、睨み合いながら相手の出方をうかがう。

「やめたわ。お楽しみは次回にお預け。また会いましょう。」

「そうか、それは楽しみだ。」

キョウカはふわりと戦場から去っていった。普通の人間の足では追いつけそうもなかった。

 

 

アシュリーが戻ると、ハルカに応急処置が施されていた。どうやらかなりの重傷らしい。

「ううっ…ハルカさん死なないで…。」

ミアが泣きながら手当てしている。ハルカに意識はなく、ぐったりとして動かなかった。

「少尉、縁起でもないこと言わんといてくださいよ!心臓動いてるんで大丈夫です!というかミュータントさんに我々ができる事ほとんどないっすよ!」

そう、ハルカのようなミュータントは妙な力で守られており、オブシディアン製のものでなければ傷つけることができない。注射すら不可能なのである。

「ま、ハルカは異常な回復力持ってるから大丈夫だろう。」

「アシュリー少佐!よくぞご無事で!もちろん勝ったんですよね?!」

「いや、逃げられちまった…。」

「はぁぁぁああ?!絶好のチャンスを逃したんすか?!じゃあ罰として全員にピザ奢ってくださいね?!」

 

 

兵士らと言い合いをしていると、救援の輸送機が近くに着陸した。兵士らは急いでハルカを担ぎ、輸送機へと向かう。輸送機の扉が開き、衛生兵が飛び出してきた。

「重傷者がいると聞いて飛んできました!患者の状態は!?」

「ハルカを頼む!腹に穴が開いてけっこう出血していた!出血は止まってるっぽい!あと多分何か所か骨折してる!意識はないけど心拍はギリある!」

「ええっ?このちっちゃい子がハルカさん?!ゴリゴリマッチョの暴れ馬じゃないんですね!」

ハルカは荒ぶるゴリゴリマッチョだという噂が流れていたのか。暴れ馬なのは間違っていないが。

「おねがいじまずううぅ!」

ミアが号泣しながら衛生兵にすがりつく。

「後を頼む。あとミアも連れて行ってやってくれ。メンタルが重傷だ。ちなみに、これでも尉官だ。」

「ラジャー!ささ、ミア殿、鼻をかんでください。」

ハルカとミアを押し込み、アシュリーらは輸送機を見送った。ハルカがキョウカをしばらく引き付けてくれたおかげで何とか敵を押し戻し、友軍は勝勢になっていた。正式な軍属でもないハルカにいつも負担をかけっぱなしで、勝利に沸いているであろう前線とは裏腹にアシュリーは気が重くなっていた。太陽が沈み、暗くなってきた空がアシュリーの気分を代弁しているようであった。

 

 

あとがき

大丈夫ですハルカちゃんも作者もギリ生きてますw もうお気づきかもしれませんが、ハルカちゃんは幸薄い子なのです。流石に主人公なので、また元気に戻ってきてくれるでしょうw 次回はちゃんと7月中には出す、、いや出したいですw お楽しみに~(^ཀ^)

 

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2024年1月22日