まえがき
ポテチって美味しいですよねw 今回はポテチ回です笑 嘘ですw
楽しんでいってくださいうふふ(^ཀ^)
本編
「あの、お願いがあるのですが…。」
警察に話を聞かれた後、案内の兵士が口を開く。
「なに?」
「その…記念写真を撮ってくださりませんか…?」
ハルカは拍子抜けした。この案内の兵士も機械的に動いているようでハルカは少し警戒していた。しかし、急に人間らしい表情をしながら写真撮影をねだってきたのである。
「え…良いけど…。急にどうしたの?」
「ハルカさんに会えるなんて、今後二度とないかもしれませんからね。同僚に自慢するんですよ。」
どうやら本気らしい。先程までの態度が嘘のようだ。
「さっきまであんなに堅苦しかったのに…。」
「いやー、公安警察が来て緊張してたんですよ。あいつらの前では下手なことできませんからね。」
そう言うと、案内の兵士はカメラを取り出した。こちらに向けて二人で数枚写真を撮る。
「ありがとうございます!一生大事にします!」
「う、うん。私との写真なんかで良ければ…。」
ハルカが割り当てられた自室に戻ると、アシュリーとミアが待っていた。いつもの柔らかな笑顔が出迎える。
「おかえり。どうしたんだ、そんなに膨れて?」
「あいつら気に入らない…。嫌らしい言い方ばかりでムカついた!」
アシュリーがやっぱりな、という風な顔をする。
「ま、それがあいつらのやり方だ。敢えて感情的にさせて疲れさせるんだ。」
「そんな!むうー、まんまと乗せられちゃったよ…。」
数秒間の沈黙が部屋を包み込む。
「ハルカさん!お菓子買いに行きましょう!こんな時は美味しいものですよ!」
ミアが明るい笑顔で静寂を打ち破る。
「お菓子!?あのしょっぱいイモが良い!」
「ポテチですね!売店行きましょう!あっ、少佐はダイエット中でしたっけ…。」
「ああ、俺はやめとくよ。二人で行ってきてくれ。」
アシュリーがそう言うと、二人は満面の笑顔で売店に走っていった。
「クッソー、せっかく迎えに来たのに取り調べ中やんけ!」
ブレイズはエリックに会うため銀河警察本部に来ていた。
「まぁまぁ、落ち着きましょうよ大佐。エリック大佐の場合、数日は取り調べになるでしょうし、すぐ来ても会えないって言ったじゃないですか。」
受付でイラつくブレイズを部下がなだめる。
「そうやけど…。何もせんわけにはいかんやんか…。」
「きっと大丈夫ですよ。コーヒーでも買ってきますね。」
そう言うと、ブレイズの部下は席を立ち、奥の売店まで歩いて行った。
ブレイズがここまで心配しているのも、兄であるエリックは警察からかなり危険視されているからである。エリックは電気使いであり、ネットワークに侵入して敵の情報を収集することが主な任務なのだ。エリックが所属する諜報部は違法スレスレの活動を行うこともあり、警察からは危険視されている。
「アイツ、大の警察嫌いやけど大丈夫かなぁ…。」
ブレイズがポツリと呟く。以前、エリックが警察幹部のパソコンに侵入し、よろしくない画像フォルダを見つけてゲラゲラ笑っていたのが懐かしく感じた。思えば、警察に目の敵にされ始めたのはそれがバレてからだった気がした。
「大佐!買ってきましたよ。熱いのでお気を付け…。あっ、炎属性なので余計なお世話でしたね。」
「おお、サンキュー。まぁな、熱さには強いな。…あっつ!!」
「ええ…。」
コーヒーに口をつけ、熱さに悶えるブレイズに部下は少し引いた。
「炎使いなのに熱いとか思うんですか?」
「ああ、普段炎出すときも普通に熱いで。」
意外すぎる返事に部下はどう返事をしたら良いのか分からなくなった。
「何なら、エリックも電撃使う時はちょっと痺れるらしいで。当然、自分にはダメージ無いけどな。」
「マジですか…!」
部下は開いた口が塞がらないようだった。無理もない、彼らは普段から炎や雷を楽しそうに噴き出して敵を薙ぎ払っていたのだから。
たわいもない話をしていると、時間だけが過ぎていく。警察の受付担当者も、この人たちは何しに来たんだと言いたげな顔で二人を眺める。
「しゃーない、今日は帰るか。おい、取り調べが終わったら連絡くれよな!」
そう言うと、困惑する受付担当を尻目にブレイズ達は警察を後にした。
「おいしい!これこれ!最高…。」
パリパリと良い音を立てながらポテチを食べ、ジュースを流し込む。
「おいおい、もうちょっと落ち着いて食べなよ。」
アシュリーの注意をそこそこに聞き流しながら、ハルカとミアはベッドに腰かけてポテチをジュースで流し込む。
「良いじゃん、しばらく食べられなかったんだし…。お金もたくさん溜まってるからね。」
ハルカは軍の保護下になってから、訓練時間に応じた給料を与えられていたのである。それほど多いわけではなかったが、お菓子の購入くらいしか使い道も無かった為にかなりの額が貯まっていた。ポテチ程度、いくらでも買える金額だ。
「でも、敵地のごはん結構おいしかったんですよね?」
「うん、美味しかったよ。見たことない料理もあったけど…。」
「へぇ、例えばどんなの?」
いつの間にかアシュリーもポテチを頬張っている。
「なんか、魚がゼリーの中に入ってるやつとか…。」
アシュリーとミアが心配そうな顔を向ける。
「なぁ、それって細長い魚がぶつ切りになってゼリーに埋まってるやつか…?」
「そうだよ。薄い塩味で、ちょっと生臭かったよ。やっぱりポテチくらいの塩っ気が欲しかったね~。」
聞いている二人は顔が引きつっていた。そう、今や伝説となった「うなぎの煮凝り」である。文化は進んでいるのに料理が異常にマズイと評判だった、某国の料理である…。確かその国は今も一つの惑星を治めていたはずだが、煮凝りは流石にマイナー料理になっているらしい。
「そんなにマズくは無かったけど、美味しくはないし、やっぱビジュアルがね…。普通に焼いて塩でも付けてくれれば良かったのに…。」
皆が思うであろうことを、ボソっとつぶやく。
「ね、エリックはどうしてるかな?一緒に来たのに、すぐ別のところ行っちゃって。」
一瞬、アシュリーは口をつぐむ。
「取り調べ受けてるんだろうな。ハルカより相当時間がかかっているだろう…。」
「諜報活動が主な任務なんだよね…。警察からいつも疑われてるなんて、大変だぁ…。」
話してるうちに、ポテチとジュースが残り少なくなってきた。
「って言うか俺のジュースは?」
「あ…ごめん、アシュリー食べないかと思って買ってなかった…。」
仕方ない、買ってくるよ。と言いながらアシュリーは部屋を出る。少し歩いたところにある廊下の角で、彼はつぶやくように言った。
「なぁ、その辺にしとけ。」
何も返事はない。
「仕事で仕方なく、だろう?無理すんなって。」
「…いつから気付いていました?」
物陰から、ヌッと一人の兵士が姿を現す。
「囮が来た時からさ。こっちもプロなものでな。」
アシュリーが話す相手は、ハルカを連れて行った兵士だ。
「かないませんね。今回は退散しましょう…。」
「待て。」
少し明るい声で、アシュリーが相手を呼び止める。
「撮った写真、大事にしろよ。もう二度とチャンスは無いぞ。」
その言葉を聞くと、フッと笑いながらその兵士は立ち去って行った。
あとがき
とっても書くのに時間のかかった話です笑 不穏な感じを文章にするのに苦戦して夜しか眠れなくて…。だんだん書きにくくなっていくのですが、途中で折ることは無いのでまた次回も読んでいただけるとヒャハ———-!!