まえがき
最近ちょお~っと忙しくて更新間隔が長くなり気味ですすみません!!今回は少々生々しい感じの話です(決してグロくはないですよw)。楽しんでいってください(^ཀ^)
前回のあらすじ
敵軍の捕虜となってしまったハルカと、以前より捕まっていた政府軍の特務大佐エリックは、共に力を合わせて脱出に成功する。戦闘機を奪って脱出後、政府軍機に敵と誤認されて撃墜され、味方の惑星ホスファスに不時着する。エリックのエネルギー切れにより助けを呼べないまま森で過ごすこととなる。数日後、エネルギーが回復して助けを呼べるようになり、二人は無事に救出されたのであった。
じんわりと気温の上がってきた朝。カーテンの隙間から差し込む日差しを少し嫌がりながら、ハルカはゆっくりと目を開く。ほぼ同時に、ドアからコンコンと音がした。
「はーい。」
返事をする途中で勢いよくドアが開き、ハルカの目にも止まらないスピードで何かが突っ込んできた。
「ハルカさん!無事でよかった…!ぐすん…。」
気付くとミアが抱き着いていた。ミアは泣きながら何か言っていたが、うまく聞き取れない。
「ちょ、ちょっとミア!そんなに心配してくれてたの?」
ミアは言葉を発することもできず、抱き着いたまま何度もうなずいた。
「おいおい、落ち着けって。」
ドアの方から、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「あ!アシュリー!」
「久しぶりだな。無事で本当によかったよ。」
そこには、アシュリーが穏やかな顔で立っていた。
「さぁミア、そろそろ離してあげてくれ。ハルカの分の朝食を取りに行こう。」
「ぐすん…えへへ、ごめんなさい…。ハルカさん、一緒にご飯食べましょうね!その間に着替えててくださいね。それから…。」
「ほらほら、行くよミア。」
アシュリーに引っ張られ、ミアは朝食を取りにハルカの部屋を後にした。
戻ってきたアシュリー、ミアと一緒にハルカの部屋で朝食をとった。3人は食事が終わった後も、長々と話し続けた。敵地に捕らえられたこと、エリックと出会ったこと、死に物狂いで脱出したこと、その間にブレイズが勝手に救助に行こうとしてアシュリーが止めたこと。
「ミアなんて、毎日涙目になってたんだよ。ミアの方が心配になるくらいでね。」
「そ、そんなこと言ったら、少佐だって全然眠れずに日を追うごとにゲッソリしてたじゃないですか!」
二人がお互いをからかい合う。そこまで心配させていたのだと思うと、ハルカは何だか申し訳ない気持ちになった。
「そう言えばブレイズは?元気?」
「あー、あいつなら今頃、エリックに会いに行ってると思うよ。エリック、ブレイズの事大好きって言ってただろう?」
「うん、言ってた。仲良いんだね!」
「ま、ブレイズは普段はツンツンしてるけどな。エリックが戦闘部隊じゃなくて、諜報部隊に行ったことを良く思っていないみたいで…。本当はめちゃめちゃ仲が良いんだよ。」
「ふーん、変なのー…。」
その後も話は弾んだが、ドアのノックで話はさえぎられる。
「失礼します!本日、ハルカさんにお話を伺いたいという方が来られます!もうすぐ着くとのことですので、ご準備を。では!」
それだけ言って兵士は部屋を後にした。
「やはり来たか…。」
アシュリーの顔が急に曇る。
「話?何だろう?」
「あー…。面倒な奴らだ。ハルカ、俺たちは一緒には行けない。なに、正直に話せば良い。」
「え…?」
ハルカは何が何だかわからないという顔で間抜けた返事をする。ミアの方を見ると、困った顔をしている。一体どうしたと言うのだろう。
しばらくして、ドアがノックされる。ハルカが返事をすると、先程の兵士がドアを開けた。
「失礼します!ハルカさん、別室へお願いします!」
「はーい。」
あまりやる気のない返事とともに、ハルカは立ち上がった。
「ハルカさん、ここで待ってますからね!」
「すぐ終わるだろうから適当にやり過ごしてきてくれよ。」
ミアとアシュリーに見送られ、ハルカは別室へと連れていかれた。
案内された小さな部屋には、黒い制服をピシっと決めた人物が二人いた。ムスっとしたガタイの良い男性と、ニコニコしている細身の男性だ。
「では!自分はこれで失礼します!」
「ああ、ご苦労。」
案内の兵士が部屋を後にし、細身の男性が柔らかい口調で返事をした。
「初めまして。私は政府警察公安部のカール・アンダーソンです。多分今日しか会わないから覚えなくて良い。こっちのデカイのはオーブリー。ハルカさんですね?」
「そうだけど…。何か用…?」
「その通り、用事があるんですよ。ささ、座って。お茶でも飲みながらゆっくり話しましょう。」
カールはペットボトル入りの紅茶を差し出してきた。
「ん、ありがとう。で、話っていうのは…?」
「君は敵地に囚われていたんですよね?そこで、敵地で何をされたのか、何を見たのか、そしてどうやって帰ってきたのか…。覚えている範囲で教えてくれますかな?あ、メモとるの大変だから録音させてね。」
なんだそんな事か。ハルカは体験した事を話し始めた。途中、何度かカールに質問もされたが、一生懸命に説明した。なかなか細かいところまで聞かれ、説明するのに少し疲れてきたが、それでも覚えていることを最後まで伝えた。
「なるほど、詳しくありがとうございます。録音はもう良いでしょう。」
カールはレコーダーをオフにした。
「ところで一つ質問なのですが…。」
一瞬、空気の流れが止まったかに思えた。
「ハルカさん、本当に何も無いんですね?」
突然カールの雰囲気が豹変し、空気が重くなったのをハルカは感じた。
「どっ…どういう事?!」
ハルカは全身に鳥肌が立つ感覚を覚える。
「おや、意外と鈍いのですね。それとも、ワザとですかな?」
今にも切り裂かれるような、カールの鋭い目線がハルカの顔に突き立てられる。
「単刀直入に言う方が分かりやすいでしょうか。我々は、あなたがスパイではないかと疑っているのですよ。」
ハルカは突然の言葉に一瞬、思考停止してしまった。しかし次の瞬間には勝手に口が動いていた。
「私が?なんでそういう話になるの?」
ハルカもカールを睨み返す。
「だってほら、あり得ないじゃないですか。」
数秒間、沈黙が続く。
「まさか、敵地から無事に自力で戻ってきて疑われないなんて思ってないですよね。」
「何よ、戻ってきたら悪いの?」
「いやいや、そうではありませんよ。しかし、いくらエリック大佐と一緒だったとは言え、あのダルクに捕らえられて自力で無事に戻るのは流石に無理というか。」
ニヤつきながらカールが問い詰める。
「だってうまく行ったんだもん。」
ハルカは頬を膨らませながら答える
「偶然うまくいった。それで納得はできないですよねぇ。」
「じゃぁ、どうすれば良いのよ…。」
「そうですね、本当の事を話していただければ。」
再び、部屋を沈黙が包む。ハルカは苛立ちを隠せなくなってきた。
「本当のこと話したんだけど?文句ある?」
バンッ、と机を叩き、ハルカは椅子から立ち上がる。ガタイの良い方の憲兵、オーブリーが動き出すが、カールが制止する。
「おー、怖い怖い。暴力はいけませんよ?たくさんの人を敵に回しますからね。」
カールは顔色一つ変えず、ニヤつきながらハルカを見つめる。
「いいよ、別に。ここの基地くらいなら私一人で潰せるよ?」
「まぁまぁ、そう言わずに。しかし今日はもう話し合いはできませんね。」
カールがやれやれと言わんばかりに立ち上がる。
「会うのはこれっきりでしょう。また別の人が来るかもしれませんが、お手柔らかにお願いしますね?」
そう言うとカールはオーブリーを引き連れ、部屋を出て行った。後にはモヤモヤした気持ちのハルカだけが取り残された。
「終わりましたか?では、部屋に戻って休憩されてください!」
先ほどの案内の兵士がやってきた。それにしても、余計なことは一切しゃべらない兵士だと思いながらハルカは部屋に戻った。なんだか先程の警察に似た雰囲気で、彼ともあまり仲良くできそうになかった。
あとがき
はい、面倒そうな人が現れましたねw カールさんの言う通り、今後彼は登場しない予定なのでガチで覚えなくて大丈夫です笑 キャラ増えすぎると作者も把握しきれなくなりますからね~。ちょっと最近私生活が忙しく更新遅くなって恐縮ですが、必ず完結までは持っていくのでよろしくお願い申し上げます!